カナダのIDAHOサイトの一部

ホモフォビアへの意識

残念ながら、男女の同性愛者に対する敵意は、今も昔も存在します。昔と違うのは、人々がそのような敵意の存在を意識するようになり、それをはっきりと告発し始めた、ということです。長い年月にわたってホモフォビアという言葉が存在すらしていなかったのは、社会が同性愛を異常だと考え、その正当性を認めようとしなかったからです。

ホモフォビアは、個々人の、社会の、そして組織的な偏見から生まれます。それは、男女の同性愛者に対するまったくの敵意、あるいは同性愛者の排除という形をとり、あらゆる職業や階層の人々にその爪あとを残します。

偏見と憎悪とに基づくあらゆる態度や行為、たとえば性差別や女性嫌悪、人種差別や反ユダヤ主義などと同様に、ホモフォビアには何のまともな根拠もありません。個人や社会が他者のさまざまな違いを受け入れることができず、それが個々人に対する、ひいては社会全体に対する脅威だと考えるようになるところに、ホモフォビアは生まれます。同性愛に完全な法的、社会的認知を与えると人類の存続が危うくなる、と言い張る宗教団体や世俗の運動さえあります。ホモフォビアは、同性愛は劣ったものであり、異常であり、重要ではない、という前提に立っているのです。

ホモフォビアの表れ方

ホモフォビアは、意識的・無意識的なレベルでさまざまなあらわれ方をしますし、内面化されていることもあります。

ホモフォビックな姿勢とは
○ゲイやレズビアンは異常であり病んでいるという感情や信念のこと。

ホモフォビアに裏打ちされたヘテロセクシズム(異性愛主義)
○人はみな異性愛者であり、異性愛だけが正当であり異性愛以外は認められないという、誤った考えのこと。このような信念は、規範を設けるのは多数派であるという考えに基づいている。

ホモフォビックな言語表現
○冗談から侮辱までにわたる表現や語彙を用いること。

個人間の人間関係におけるホモフォビア
○ゲイ男性やレズビアンと接する時に、落ち着かないとか安全を脅かされるとか恐怖を感じるなどといった感情を、態度で表すこと。

制度化された/組織的なホモフォビア
○制度そのものにゲイ男性やレズビアンが不利益をこうむるような慣行が組み込まれていること。

機会主義的・ご都合主義的なホモフォビア
○金銭上の利益、あるいは個人的な利得だけのために同性愛に関心をいだくものの、同性愛者であると思われたり、ゲイ男性やレズビアンとかかわりがあると思われたりするのを嫌がること。

内面化されたホモフォビア
○多くの場合明確には意識されていないホモフォビアで、社会で受け継がれてきた価値観や教育の産物。ゲイ男性やレズビアンでも、ホモフォビックな態度をとることがありえる。

ホモフォビアの黙認、または消極的なホモフォビア
○誰かが介入して止めなくてはならないようなホモフォビックな言語表現や態度に対して、沈黙をまもったり、反応しないですませたりすること。

ホモフォビックな暴力
ホモフォビアを暴力につながるような極端な形で見せ付けることで、言葉による攻撃からヘイト・クライム(憎悪犯罪)までを含む。

■若者がホモフォビックな態度を見せたときの対処

○ホモフォビックな攻撃をしているのが誰なのかを特定し、ハラスメントをやめさせる。
○そのようなハラスメントは性的指向を貶めるものだと告げて、これがホモフォビックなハラスメントであることを明らかにする。
○そのような態度は許容されないものであることを告げ、議論をうながす。
○ホモフォビックな攻撃をした人たちに、なぜそのようなことを言ったりしたりしたのか尋ね、態度をあらためるように求める。
○ハラスメントを受けた側には、また同じような事があったら伝えて欲しいと告げて、不安を取り除く。

(注:上記の文章はカナダの反ホモフォビアの日の団体のサイトの一部を翻訳したものです。 http://www.homophobiaday.org/ )