牟田和恵さん(大阪大学教員)

「ゲイ・レズビアンの人への差別は良くないと思うけど自分はそうじゃないから関係ない」「性的な指向は『私的なこと』で個人の自由だからとやかく言えない」--こんな風に考えてる人も多いのでは?あからさまな差別や偏見に比べれば「まし」かもしれないが、でも、「私的なこと」だから国家や社会は干渉すべきでない、とみるのでは実は十分ではない。というのは、異性愛や男女二元論を当然・唯一の規範として成立している現在の法制度や慣習のもとでは、同性愛者や他の性的少数者の権利は現実に大きく侵害されているからだ。「自分には無関係」だと考えるとすれば、その侵害が続いていくのに加担することになってしまう。また、本当に「自分は異性愛者だから関係ない」のだろうか。人とどうつながりを結ぶか、自分をどのように表現するか、どう生きるか--自由を縛られているのは、少数者だけじゃない、と気づくはずだ。