坂上香さん(映画監督・京都文教大学教員)

Sakagami 私とホモフォビア
                
 大学時代の友人ホセはゲイだった。彼とは授業後にはいつも飲みにでかけ、週末は踊りにいったりするぐらい、仲が良かったのに、気づいていなかった。ある日、私のジョークに彼は激怒した。詳細は忘れたが、セクシュアリティをネタにしたジョークに、ホセは顔を赤らめ、「君は偽善者だ!僕は時々君が理解できなくなる。僕は君が笑いのネタにしている、そのホモだよ!」と叫んだ。
 そしてもう一人の友人マリリンは、レズビアンであることをずっと黙っていた。知り合って6年ぐらいたったある日、彼女は電話口の向こうでフッ〜と深いため息をつき、今まで言えなかったと告白してくれた。
 ホセが私に激怒したのも、マリリンが6年も黙っていたのも、私のホモフォビアのせいだった。ホセの叫びとマリリンのため息が、自分の偏見に気づかせてくれた。