大藤恵子さん(アメリカ、ベイツ大学教員)

大阪に留学しているアメリカ人の女子大生が、日本人に「今、デートしている人がいますか」と聞かれ「彼女がいます」と答えたとき、「あなたの日本語は間違っていますよ」と言われたという話を聞いた。その日本人に悪気はなかったのかもしれないが、正に「無知は偏見をよぶ」と言える感じがした。

しかし同性愛者の可視化が顕著であるアメリカに住んでいる私自身さえ、何年か前ならそういうことを言わなかったとは言い切れないものがある。なぜなら、私の生徒の中に同性愛者がいるということは念頭になかったからである。しかしながら、実際に同性愛者は3〜10%いると言われている。だからまず、世の中には異性愛者ばかりではないという意識をみんなが持たなくてはいけないと思う。そのためには何が必要か。学習である。私自身、本を読み、映画を見、研修会に参加し、同性愛者の語りを聞き、学習してきた。そういうことでみんなの偏見が完全になくなるという保障があるわけではないけれども、多くの人が変われると私は信じている。同性愛者を受け入れ、彼らの権利をサポートするようになれると信じている。ここでひとつ重要なことは、同性愛者のことを完全に理解するのは不可能であるし、同性愛者はそういうことを望んでいるわけでもないこと。「多様性を受け入れるのだ」という考えが大切である。

みんなが同性愛や性的マイノリティについて学習し、「私には彼女がいます」「僕には彼氏がいます」と言えたり、「ああ、そう。いいねえ。どんな人?」などと、会話が前にすすむような受け答えができたりする日が一日も早く来なくてはいけないと思う。そういうことに頑張っているこのキャンペーンを少しでも支えてあげられれば嬉しい。