伏見憲明さん(作家)

Fushimiホモフォビア」を訳すと「同性愛嫌悪」とか「同性愛恐怖」になるのだろうが、日本での「ホモフォビア」は、実際には、明瞭な輪郭を取らないところに特徴がある。言葉にはしないが侮蔑感がある、とか、何気なくその部分に触れないようにする、とか、感覚的に不快感を抱いている、とか、雰囲気として排除す る、とか、笑いの文脈で貶める、とか……。そうしたあいまいなホモフォビアを炙りだしていくことは、かえって難しい。だからこそ、ホモフォビアを社会に 自覚させるムーブメントには意義があると思う。